芦別獅子の歴史

芦別獅子の創設

明治28(1895)年、富山県砺波地方から今の本町地区に入植した70余戸の人々は、翌年、精神的団結を図 る為、神社を設置した。これが今の芦別神社である。この時移民団長の根井清作と芦別神社氏子総代の畠野仁太郎が協力して、郷里に伝承されていた越中獅子を 移住先で再現しようと、富山県城端町瀬戸から用具、衣装一式を購入し、これを若連中に寄贈してやらせたのが始まりで、明治33(1900)年、根 井団 体が 設置した神社の祭りにおいて、最初の獅子舞奉納がなされた。 芦別獅子創設百周年は(平成12(2000)年)この年を起算年としている。


芦別獅子保存会のあゆみ

現在の芦別を獅子担う 芦別獅子保存会は、昭和31(1956)年11月1日に結成されたが、今までの道程は決して平坦なものではなかった。 結成前、そしてそれ以降も、多くの人々の苦労の積み重ねと、幾多の紆余曲折を経て現在に至っている。


(1)芦別獅子の創始期

最初に獅子を担ったのは明治29(1896)年に結成された下芦別の若連中会と言う青年組織で、この会は15 歳から30歳までの男子で構成され、明治36(1903)年には青年会、大正3(1914)年には青年団と改称され、獅子舞も引き継がれていったが、大正 末期には諸事情から中断したという。


(2)中断と再開

昭和3(1928)年4月11日、市街地の大半を焼失した、いわゆる芦別大火があったが、「獅子舞奉納を止め た為、神が氏子を戒めたのでは」と言われ、これを契機に芦別獅子が再開された。 第2次世界大戦中も中断を余儀なくされたが、昭和21(1946)年に芦別青年同志会によって獅子舞が再興され、翌年には農区出身青年男女約80名が同志 会から独立、芦農青年会を結成し独自に芦別獅子を継承していく。


(3)保存会の結成

昭和30(1955)年頃になると、農家の後継者不足により獅子舞の活動も停滞し、芦農青年会OBを頼らなけ れば運営が困難となってきた。 そこで有志が結集し、昭和31(1956)年に芦別獅子保存会を結成、初代会長に増田慶一が選ばれ実演には運営委員会がその任にあたった。 尚、この年の11月6日には、東京の明治神宮、靖国神社、銀座などで初の遠征公演を行った。以後10年間に道内各地で17回もの公演やテレビ出演をこな し、昭和37(1962)年には芦別市指定文化財の第1号に指定され、同年10月には伊勢神宮での奉納公演を行うなど、芦別獅子の黄金時代を迎え た。


(4)終焉の危機

昭和46(1971)年頃から深刻な後継者不足となり、芦別市開基80周年を迎えた昭和48(1973)年、 保存会は同記念式典での公演を最後に活動停止をきめた。だがこうした危機を知った市民の働きかけにより、翌年、芦別工業高校生徒のクラブ活動として芦別獅 子舞技術継承会が結成され、同校教諭の熱心な指導の元、技術の継承は軌道に乗った。しかし、就職の為卒業生の市外への転出が続き、またもや活動が 低調 とな る。これを補うべく市内在住の同窓生が発起し、昭和53(1978)年、芦別獅子を継承する会が結成され、こうして4月の鎮火祭、7月の夏祭り、9月の芦 別神社例大祭など、市内での活動が再開した。


(5)保存会から継承する会へ

昭和55(1980)年、芦別市民会館において、高齢化著しい保存会から継承する会へ芦別獅子をバトンタッチ する為、両会主催の伝授記念公演が市民に披露され、これで終焉の危機を完全に脱したかに思えたがその後、継承する会のメンバーの市外転出が相次ぎ、ついに 昭和62(1987)年9月の芦別神社例大祭をもって、公演活動の中断を見る。


(6)芦別獅子の復活

平成元(1989)年、芦別市は開基百周年・市制四十周年を迎えた、この前年、来るべき記念式典での公演を切望する市民からの声に応え、保存会、継承する 会の両者が一致協力して公演実現へ向け練習を再開、後の公演は成功し万雷の拍手を賜ったが、将来への活動についての方向は定まらぬままだった。 しかし平成12(2000)年に創設百周年を迎えるに当たり、今まで2つの組織であった保存会、継承する会が一致団結し、芦別獅子保存会として一 本化し、 更に30年ぶりに小学生10名による獅子取も復活させ、市当局及び多くの市民の絶大な支援を背景に、映像記録制作、記念公演開催、記念誌発刊などの諸 事業 に、精力的に取り組んでいる。

平成13(2001)年、には芦別獅子舞の本家とも言える富山県東砺波郡城端町西明へ芦別市の補助事業支援により、獅子取りの子供達全員の研修 訪問 を実 施 し今後の糧としての成果を上げる。

平成14(2002)年、昨年、城端町西明の訪問で芦別へ表敬訪問の話しが出て、この年7月21日本家、西明獅子方の皆様が当地の表敬訪問によ り公 演が 実 現し、本家「西明獅子」と芦別獅子の共演が折しも開催中の芦別健夏まつり駅前特設会場で大勢の市民の前で行われ、時を越えた素晴らしい交流が出来た。 平成15(2003)年、9月には神社例大祭公演の翌週に全国獅子舞シンポジュームが札幌で開催され会員が7名参加し2日間研修活動を行う、更に は芦 別市 は開基百十周年・市制五十周年を迎えたこの年、芦別市民会館大ホールの記念式典オープニングに際し沢山の市民、来賓の前で舞台上での公演では有ったが万雷 の拍手の内に無事終了出来た。 晩秋、富山県城端町西明に訪問公演実施の臨時総会開催され公演が満場一致で採択された。

平成16(2004)年、8月15日 札幌市北海道百年記念村において公演、しばらくぶりの遠征である。 秋、富山県城端町西明本家に用具一式を携え10月9日から11日の3日間遠征し10日に西明神社例大祭の中、境内において交換演舞、芦別獅子全9曲、西明 地区その他近隣地区の大勢の方々を前に披露、大成功の内に終了、今後の交流に一層の弾みがつき再会の約束をする。尚芦別と城端町西明間で記念交換 植樹 が行 われ芦別、西明両神社境内に芦別は8日に、西明は10日公演前に式典の後植樹される。 獅子舞の継承は人材育成が全て、育成には金もかかるが、それ以上に人と人との絆だろう。富山県本家との交流はそうした絆を深める大切な旅となった。

平成18(2006)年、8月30日 第57回全道女性部大会が芦別青年センター大ホールにて行われ全道から850名のご婦人が参加の中、公演 を行 い大喝采を受け会員一同も経験のない事態に嬉しさの余り涙した者もいた。

平成20(2008)年 4月11日 芦別大火80周年鎮火祭が芦別神社で挙行、神社より火元付近まで行進し出火時刻の16時、芦別獅子として 昭和 63 年 春を最後に実に20年ぶりの鎮火祭奉納。 その目的の一つ、唯一行われていなかった鎮火祭奉納がこの日実現出来た事に関係者一同気持ちを新たにした。 この春以降、会員の努力と皆様のご理解を得て獅子取の子供、新人5名が伝承に参加する事となり獅子取総勢11名、次代の伝承へ心強いものを感じる。


(引用参考文献 芦別獅子百年史より)

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